「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」感想
ほぼ日刊イトイ新聞・編「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」を読みました。
この本は任天堂の先々代社長・岩田聡さんの言葉を集めた本。
コンピュータとの出会いやHAL研究所時代の話に始まり、ゲーム開発者・経営者としての仕事観、社長就任時など節目々々の心境、もはや伝説とされる「MOTHER2」開発時の話……等々。
誇張なし。ディフォルメなし。引用元の表記や、編者による解説もありません。タイトルの「こんなことを話していた」そのままの本です。
以下、印象的だった部分を引用します。
自分たちがつくるものに対して、最初、お客さんは、たいして興味がないどころか、まったく興味がない。いつもそこから、はじまる。
「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」より引用
あれだけのことを成してなお、この視点を持ち続けられるのが凄い。
興味深いのは岩田さんが宮本茂さんについて「はじめてそれを触る人がどう感じるか、ということをものすごく冷静に見ている」と評しているところ。
お二人のモノやプレイヤーへの向き合い方に共通項を見た気がして面白かったです。軸は違えど同じ場所を見ているというか。
後半、宮本さんと糸井重里さんから見た岩田さんの話も楽しく読みました。
会議中どんどんお菓子を食べるからカービィと呼ばれたとか、MOTHER2の打ち上げに「(糸井さんの)奥様を連れてきて下さいませんか」と珍しくわがままを言ったとか 笑。
余談ですが、ソフトバンクのCM「犬のお父さん」シリーズでお母さん役をされている樋口可南子さんが糸井さんの奥様ということを初めて知りました。まさかこの本で知ろうとは…… 。
そんな岩田さんが亡くなってもう5年。
時に二枚舌と評されながらも「どうしたらハッピーを増やせるか」を考え、ユーザーに添って下さった岩田さん。
──名刺のうえでは、わたしは社長です。頭のなかでは、わたしはゲーム開発者。しかし、こころのなかでは、わたしはゲーマーです。
「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」より引用
この本は岩田さんの発言すべてが収録されているわけではありません。でも経営者で、開発者で、ゲーマーな岩田さんの表情はそれぞれちゃんと入っていると思います。
ゲームが好きな人、モノを作りたい人、モノと人を繋ぎたい人。そんな人におすすめしたい1冊です。
※2020年7月現在、ほぼ日のストアページで第1章~第3章が無料公開されています。
追記はなんというか、むらびと時々村長だったけど「あつ森」買わないヨ!って話です。
上の「自分たちがつくるものに対して、最初、お客さんは、たいして興味がないどころか、まったく興味がない。いつもそこから、はじまる。」に続く文。
そしてそこから、愛してもらうというか、わたしたちのつくったものに触れてニコニコしてくれる状態にまで線をつないでいかないと、自分たちの負けだって思ってます。最初だけ盛り上げて、とにかく買ってもらうというのではなく、半年後、1年後と、新しい提案を出し続けていって、お客さんが「ああ、気がついたら遊び続けてたわ」ってことが起こらないとダメです。そうしないと、ほんとうの意味での目的を果たしたことになりませんから。
「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」より引用
故人の言葉を都合よく利用するようで嫌ですが、あまりにも今の「あつまれ どうぶつの森」に当てはまりすぎていてなんだかなあという感じです。
毛呂さんや岩田さんがいたらこんなことにはならなかったのかな。
買わなくて良かった、なんて思いたくなかった。
\Thanks for reading!/