水の森の秘密

岡田淳さんのこそあどの森の物語シリーズより「水の森の秘密」を読みました。

水の森の秘密の書影

ここ何日も雨が降っていないのに、こそあどの森はぬかるんで長靴がなければ歩けないほど。湿地を好むはずの花まで咲いています。

いつもと違う森のようすにスキッパーたちが首をかしげていると……。

感想

シリーズ12作目。94年に始まり20年以上続いたこそあどの森の物語もとうとう最終巻です。

かつてない驚異にみまわれるこそあどの森。それでも暗い雰囲気にはならず、さてどうする?と向き合っていくのはいつも通り。

異なるのは事件の「その後」がいつもより長めに語られていること。なりたい自分に向かって行動するスキッパーが特に印象的でした。

他人と関わるのが苦手でほかの住人を訪ねるだけで精一杯だったシリーズ初期を思うとその変化にしみじみ。

冒頭、プニョプニョタケの料理法を見つけて皆が集まるのも1作目「ふしぎな木の実の料理法」になぞらえているのかな?と嬉しくなりました。

見返しの地図の仕掛けも懐かしく思うと同時に本当に終わってしまうんだな……と。

スキッパー、トワイエさん、トマトさん、バーバさんと語り手と言葉を替えながら繰り返し説かれる因果・均衡・未知。物語の着地点はここだったんですね。

自然、生きものたち、そして人。長い時間の中で手をつなぐように世界が成り立っていること。世界は広くまだ知られていないことがたくさんあること。

新しく知る者、改めて考える者。子どもと大人、分け隔てなく事件の当事者になってきた物語だからこそ、読者の視点が変わっても同じテーマが形を変えて響くのだと思いました。

また1作目から読み直そう。

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気分転換に通勤経路を変えたらまわり庭に放し飼いにされているシェルティと出会いました。

以後ほぼ毎日顔を合わせていますがいっこうに覚えてもらえる気配がなくダレダ!ヨソモノ!と吠えられます。忠犬可愛い。

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