台所のラジオ
吉田篤弘さんの「台所のラジオ」を読みました。
感想を書くためにざっと読み返すはずがじっくり読みふけってしまい結果、再読。
- 紙カツと黒ソース
- 目薬と棒パン
- さくらと海苔巻き
- 油揚げと架空旅行
- 明日、世界が終わるとしたら
- マリオ・コーヒー年代記
- 毛玉姫
- 夜間押ボタン式信号機
- 〈十時軒〉のアリス
- いつか、宙返りするまで
- シュロの休息
- 最終回の彼女
食べ物と変化をテーマにした短編集。
時を経て変わるもの、変わらないもの、変えたくないもののために変わる人。
日常と分岐点の境目めいた物語が少しずつリンクしながら12編収録されています。
吉田さん得意の「なにやらよく分からない仕事に従事する人々」も健在。
もう少し詳しく知りたいのにさらっと流されてしまうのもいつも通り。うーんもどかしい。
タイトルにもなっているラジオは行動のきっかけ、話題、背景、オチ要員(?)と様々な形で物語を支える名脇役。
リスナーありきのラジオ番組は一方的のような相互関係のような。その距離感が吉田さんの物語に合っている気がします。
特に好きなのは「油揚げと架空旅行」「マリオ・コーヒー年代記」「シュロの休息」。
そそられるのは〈丸山レストラン〉の紙カツ、マリオのミルク・コーヒー、あのうどん。
読んだ後さて、と冷蔵庫を開けたくなる1冊でした。
\Thanks for reading!/